シニアの定義は何歳から?年齢だけではないその境界線
私たちはライフステージに合わせて異なる生き方をしていますが、近年はシニア層であっても積極的に働いたり、趣味に勤しんだりしている方が多く見られます。
そもそも「シニア」とは何歳からを指す言葉なのか、その境界線があいまいになっている方も多いでしょう。
今回は国ごとに異なるシニアの定義や、年齢以外で判断できるシニアライフの始まりについてご紹介します。
シニアの定義は国や地域で異なる
単に「シニア」といっても、日本における定義と他の国々ではその意味合いが異なります。
私たちの住んでいる日本での定義と、他の国で考えるシニアの定義にどんな違いがあるのかを見ていきましょう。
世界保健機関(WHO)の定義
世界保健機関で定義されている「シニア」とは、65歳以上の者が当てはまるとされています。
かつては60歳と定義されていたこともあったようですが、人口における高齢者の割合が増えたり、健康寿命が昔に比べて延びたりしたことで見直しが行われました。
厳密にいえば様々な国ごとに高齢者の定義が異なりますが、世界の標準を考えるときは「65歳以上」を目安にすると良いでしょう。
また、大まかに65歳以上を高齢者としている中でも、さらに年齢別の分類が存在します。
- 前期高齢者:65歳~74歳
- 後期高齢者:75歳以上
同じシニア層であっても、65歳と100歳では健康状態や生活レベルが大きく異なることから、このような分類を行っていると考えられます。
日本における定義
日本におけるシニアの定義は法律によって異なります。
一般的には世界保健機関と同じ「65歳以上」とされることが多い一方、日本老年医学会・日本老年学会の2つでは以下のように細かな分類を設けています。
- 准高齢者:65歳~74歳
- 高齢者:75歳~89歳
- 超高齢者:90歳以上
この分類だけ見ると、65歳はまだまだシニア層の入口であり、年齢を増すにつれて呼び名が異なることが分かります。
この場合の「シニア」が具体的にどの分類に当てはまるのかは明記されておりませんが、准高齢者から超高齢者までを総合してシニア層と呼ばれることもあります。
2024年現在、老齢年金を受給できる時期も65歳からであるため、社会的なシニア層の始まりも65歳からといって良いでしょう。
今の10代や20代がシニアになる頃には、老齢年金の受給開始年齢が引き上げになる可能性も示唆されているため、社会的なシニア層の定義が徐々に変わっていく可能性も十分に考えられます。
一方、運転免許を所持している方の場合、70歳以上になると高齢者講習を受けなければなりません。
これは70歳になることでそれまでよりも認知機能が低下するとし、講習や認知機能検査をクリアし、より安全な運転を心掛けてもらうためのものです。
この講習や認知機能検査をきっかけに運転免許を返納する方も多く、高齢者が起こす交通事故の減少に繋がっています。
さらに、これらの定義とは少々ずれがあるものの、転職エージェントや結婚相談所などのサービス業界では50歳以上をシニアと考える場合があります。
これは転職や結婚においての需要に沿った考え方であるため、必ずしも健康面や福祉面と関係があるわけではありません。
その他の国や地域の例
続いて、主要国の一部をピックアップし、シニア層の考え方がどのように異なるのかを見てみましょう。
アメリカやイギリスなどが世界保健機関と同じく65歳以上をシニア層と位置づけているのに対し、中国やモンゴルは60歳以上と定められています。
ドイツでは一部の報告書にて、55歳以上を高齢者と定義しているものがあるようです。
国によって数年の違いはありますが、どの国も状況が変わるごとにシニア層の定義を見つめなおし、より住みやすい環境づくりを目指しているといえます。
少子高齢化やそれに起因する独居高齢者問題・年金問題などは世界中に蔓延する問題であり、決して日本だけではありません。
大切なのはシニア層だからといって健康上の問題に悩まされることがないよう、定期的な医療機関の受診やソーシャルサービスの利用を検討することではないでしょうか。
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シニアライフの始まりは年齢だけではない
先ほどもご紹介したように、シニア層の定義は全世界共通というわけではありません。
単に年齢でシニア層を定義するだけでなく、ライフスタイルやライフステージの変化によってシニアと位置づけられることもあります。
私たちが暮らしている日本ではどのようなタイミングでシニアライフがスタートするのか、それぞれの詳細を確認してみましょう。
定年退職後
2024年現在、日本における定年は60歳です。
企業によって60歳で定年退職となるか、それ以降も定年後再雇用制度を利用して働き続けられるかは異なりますが、これをきっかけにシニアライフをスタートさせる方が多いでしょう。
正社員として働き詰めだった日々から、時短勤務やアルバイトに転身する方もいます。
健康状態の変化
足や腰の痛みが出たことをきっかけに家でもできる趣味を始めたり、自分ではなくパートナーが病気になり介護を始めたりする方も多いでしょう。
これまでよりも時間の使い方が大きく異なるため、新たな生活スタイルを模索し始める方も少なくないはずです。
大きな病気をして入院することになったり、家にこもる時間が増えたりすることで、新たな趣味に挑戦したくなることもあるでしょう。
家族構成の変化
自身に孫ができたり、息子や娘が別居を始めたりすることで、生活スタイルが大きく変わる方もいます。
特にこれまで一緒に生活していた子どもが独立すると、パートナーと2人で自由に過ごせる時間が増えることから、新たな趣味やアクティビティを始める方も多いでしょう。
さらには自身やパートナーの親を介護することになり、これまでよりも自由時間が無くなってしまう方も少なくありません。
やむを得ず働き方を調整したり、趣味の時間を削ったりせねばならず、様々な面で大変さを感じることでしょう。
身近な人との死別
これまでは大きな病気や事故がなければ知人との死別は経験しなかったにもかかわらず、年齢が上がるにつれて病気や寿命で他界する方も増えていくでしょう。
身近な人との死別をきっかけに自身の年齢を強く意識し、これまでの生活を一新させたいと考える方も少なくありません。
とはいえ死を強く恐れすぎていても行動範囲が狭まってしまうため、あくまでもライフスタイルの変化として捉えることがおすすめです。
身近な人の死をきっかけに自分の寿命について考え、残された人への準備を進める方もいます。
これを「終活」とも呼び、身の回りの片付けや死後に行ってほしいことをまとめるなど、様々な準備を始めると良いでしょう。
60~70代の節目
60代や70代になると、日本における平均健康寿命にも届き始めることから、これからの健康について考える方が多くなります。
身体の衰えは徐々に実感し始めることも多く、気づいたときには思うように行動できなくなっていたと感じる方も少なくありません。
60代や70代に差し掛かったタイミングで、これからのシニアライフを検討してみても良いのではないでしょうか。
参考までに、現時点で公開されている日本の平均寿命と平均健康寿命は以下の通りです。
平均寿命 (2019年時点) | 平均健康寿命 (2019年時点) | 両者の差 | |
男性 | 81.41歳 | 72.68歳 | 8.73年 |
女性 | 87.45歳 | 75.38歳 | 12.07年 |
注目すべきは平均寿命と平均健康寿命の差、いわゆる「不健康な期間」です。
男性では8年、女性では12年の不健康な期間があり、この間には病気や怪我で生活がままならなくなる方もいます。
この期間をどう過ごすか、またこの期間に達する前にどんな生活を送るかは、平均健康寿命に達する前の60代や70代前半で考えておく必要があります。
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シニア世代が受けられる社会的な恩恵
全人口に対するシニア世代の数は年々増え続けており、社会ではシニア世代を支える様々な取り組みが実行されています。
今回はその中から6種類の恩恵についてご紹介し、最大限に利用できるように理解を深めておきましょう。
医療・介護サービス
日本には「高齢者医療制度」が設けられており、現役世代と高齢者世代で負担額に差を付けることで、仕事を減らしたり年金で生活をしたりする世代も十分な医療が受けられるように工夫されています。
現役世代は原則として3割負担であることがほとんどですが、70歳から74歳までは2割負担、75歳以上になると1割負担と徐々に負担割合が減るといった特徴があります。
これらの不足分は約5割が公費、約4割が現役世代の負担によってまかなわれています。
また、高額な医療費や介護費用が発生したときのために、「高額医療・高額介護合算療養費制度」や「高額介護サービス制度」なども完備されています。
介護は当人の負担になるだけでなく、実際にケアを行うパートナーや家族にも大きな負担がのしかかります。
介護休業給付金や家族介護慰労金などの支援制度をしっかりと利用し、少しでも負担を減らせるよう工夫することが大切です。
また、日本には主に高齢者を対象とした様々な介護サービスがあります。
訪問介護・デイサービスとそれぞれにメリットのあるサービスを完備しており、利用頻度や身体の状態に合わせて利用できます。
経済的支援
高齢者はこれまでの貯金で生活をしたり、年金をやりくりして必要なものを賄ったりしている方も多いでしょう。
物価高が続く近年では、無駄遣いをしていなくても生活に余裕が生まれず困っている方も少なくありません。
そんなシニア層のために、日本では「高齢者向け給付金」「年金生活者支援給付金」など様々な経済的支援が行われています。
生活保護の受給者を除いて給付されたり、年金に上乗せしての給付だったりとそれぞれに注意点がありますが、少しでも生活を楽にするために積極的な利用をおすすめします。
病気やケガなどで自宅での生活が困難になった場合、介護がしやすいようにリフォームをしたり、介護面・医療面の両方で住みやすいように住宅を整備したりといった事業も行われているため、住み慣れた家を離れがたいと感じる方にとっても向いているでしょう。
交通機関の割引
高齢者の多くは車を手放し運転免許証の返納を行うため、外出時の交通手段が限られてしまいます。
それでも家にこもらず積極的に外へ出てもらうために、JRをはじめとする電車やバスなどで高齢者向けの割引サービスが行われています。
住んでいる地域や管轄によってサービス内容が異なる場合がありますが、市町村から配られるパンフレットやチラシにも掲載されていることが多く、一度調べてみることをおすすめします。
高齢者に多い車の事故を減らすため、早めに運転免許証を返納した場合は様々な特典を受けられる市町村も存在します。
タクシー券やバス利用券などを利用すれば、買い物や病院など様々なシーンで役立つでしょう。
文化・レジャー施設の優待
こちらも都道府県や市町村によって内容が大きく異なるものの、多くの自治体で文化施設やレジャー施設の高齢者割引が行われています。
一般的なアミューズメント施設であっても、一般の大人と比べてシニア層のチケットが安く設定されていることが多いでしょう。
中には「シニアカード」などが配られ、定時するだけで自動的に割引を受けられるような工夫がなされているところもあり、逐一本人確認をする手間が省けます。
就労支援
高齢者であっても金銭面的な理由で就労を希望していたり、趣味や好きなことがなく仕事で暇をつぶしたいと考えていたりする方に向けて、就労支援制度が設けられている自治体もあります。
「シルバー人材センター」など、高齢者向けにできる仕事をあっせんしてくれるところも見つかるでしょう。
単に仕事先を紹介するだけでなく、雇用継続のための給付金や、65歳以上の高齢者を雇用している企業に対する給付金など、様々な面での支援が行われています。
健康増進プログラム
厚生労働省が手掛ける「健康推進プログラム」には、成人を対象とするものから高齢者・肥満症・糖尿病・高血圧など、自分の状態に合ったプログラムを提供しています。
そのほとんどは成人を対象としたものと変わらないものの、体力レベルや抱えている疾患によっては無理をせずに行うことが大切です。
様々な運動プログラムの中から自分に合うメニューを組み合わせて挑戦できるため、無理なく継続したい方にもおすすめです。
また、高齢者向けに心の健康や生活スタイル・栄養バランスについてのサポートを受けることも可能です。運動不足に陥りやすいだけでなく、栄養が偏ったり、趣味がなくボーッと過ごしてしまったりと様々な問題が起こりやすいシニア層。
周りから生活についてアドバイスをもらうことで、自分をより深く見つめなおすことにも繋がるでしょう。
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シニア世代の楽しみ方
シニア世代に足を踏み入れた方は、ぜひ今しかできない楽しみを全力で味わいましょう。
時間に余裕があるシニア世代だからこそ、好きなことをめいっぱい楽しめるのではないでしょうか。
今は趣味がないという方も、これをきっかけに好きなことについて考えてみると良いでしょう。
趣味
一言で趣味といっても様々なものがありますが、長い時間を必要とするようなガーデニング・手芸、ゆっくりと練習の時間を取りたい楽器演奏などがおすすめです。
ガーデニングであれば花や実が実った段階で、手芸であれば作品が完成したタイミングで、大きな達成感が得られるはずです。
中にはスターターキットのように必要なものが全て含まれた製品が販売されていることもあり、初めて挑戦したい方にもおすすめです。
スポーツ・運動
高齢者は家にこもる時間が長く運動不足になりやすいといった特徴があります。
日の光を浴びずに身体を動かさない時間が続くと、それだけでも心や身体の健康に悪影響を及ぼしてしまうでしょう。
シニア層でも無理せず楽しめるウォーキングやヨガ・太極拳・グラウンドゴルフなど、手軽な運動で汗を流してみてはいかがでしょうか。
運動の中には周りと一緒になって行うものもあるため、新たな出会いが見つかる可能性もあります。高齢者になってからできた友人は、きっと何でも話せる気の置けない仲間となるでしょう。
学び
高齢者になると頭を使う回数が減るため、認知機能が低下しやすくなってしまいます。
これを防ぐために、一日の中で数十分でも頭を使う時間を取りましょう。
読書やパズルなど自分が熱中できるものを選ぶも良し、新たな語学にチャレンジし挨拶をマスターしてみるも良し、PCやスマートフォンの操作に慣れてみることもおすすめです。
PCやスマートフォンが使えると子どもや孫とのコミュニケーションも取りやすくなり、より仲が深まるのではないでしょうか。
社会交流
家の中でできる楽しみもあれば、周りの人と積極的に交流しながら楽しめる趣味もたくさんあります。
地域でお祭りや運動会などのイベントがある場合は積極的に顔を出したり、同じ世代が多く揃うサークルやクラブに参加してみたりと、これまでに無かったコミュニティへ足を踏み入れてみてはいかがでしょうか。
運動や混雑が苦手な方は、ゴミ拾いなどのボランティアに挑戦してみることもおすすめです。
旅行・レジャー
これまで仕事が忙しくなかなか旅行の予定を入れられなかった方は、シニア層ならではの余暇を使って旅行やレジャーを楽しみましょう。
これまで行ったことのない観光地を巡ったり、全国の温泉を巡って記録を付けたりと、一人ひとり異なる楽しみ方ができます。
家族ではなかなかゆっくりと楽しめない美術館や博物館を訪れてみると、若い頃とはまた違う見方ができることもあるでしょう。
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急に芸能界の仕事ときいても、「自分には縁がない」と諦めてしまう方がほとんどでしょう。
あるときには物語の重要な立ち位置として、またあるときにはエキストラとして場を盛り上げるなど、あらゆる活躍の仕方ができる点も魅力といえます。
現在活躍している方のほとんどが未経験からのスタートであることから、誰しもが平等なチャンスを与えられているといって良いでしょう。
まとめ
シニア層は明確に何歳からと決められているわけではなく、どのようなシーンにおいて検討するかによって定義が異なります。
多くは年金が始まる60歳から、もしくはWHOが定める65歳からシニア層がスタートするといって良いでしょう。
いつからでも趣味や夢中になれることを見つけ、一日をより充実させるために工夫をしてみてはいかがでしょうか。